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2022年01月11日梱包機の補強板作ってみました。
弊社には設立50年以上のスリッター部がございます。スリッターというのはコイル(条)を幅切りすることをいいます。チャイナドレスなどのサイドに長い切れ目が入っている所を「スリット」ともいいますが、同じような意味です。板の切断品とは違い、コイルなのでずーっと繋がっていますので、電子機器の部品や装飾品などを順送のプレスで抜いていく時にロス率が少なく効率が良いので、多く使われています。
時代の流れ…
幅切りが終わったコイルはバラけないように、まず結束するのですが弊社工場は職人さんの手作業で1コイルにつき3か所ほど、銅や真鍮の結束用の幅の細いコイルで縛っていました。一度に何束も出来上がることも多々あるので、職人さんはすごく大変だったと思います。筆者も何度か見かけたことがありますが、素早くかつ丁寧に結束している様子は、さすがだなと感心してしまいました。昔から変わらずこの方法で結束していましたが、時代の流れや、お客様の要望もあり、自動の結束機を導入することとなりました。出来上がったコイルは結束してから「ゲートル巻き」といって、包帯を巻くように、専用のロール紙でクルクルと巻き付けて、コイルの表面・側面を保護します。そしてお客様からお声をいただいたのは、コイル使用時にゲートル巻きをカッターナイフで切り開く際にコイル結束が金属質になっていたら、巻紙もろとも一緒に切ることが出来ないとの事でした。なかなか上手くお伝え出来ないですが、なにせ作業開始時に大変手間だとおっしゃるのです。そういったお声や、作業効率アップも含め、自動結束機によるビニール製のテープで結束することになりました。これでひとまずはいくつかの悩みは解消できました。
いろんな悩み…
が、この自動結束機、このようなコイルを結束する専用のモノではありません。おそらくは軽貨物(ダンボール箱など)の結束が目的かと思われます。ところが弊社の扱っておりますコイルは主に銅、真鍮です。厚み、幅にもよりますが、コイル1束あたり50~60kgは当たり前、100~150kgというのもザラにあります。おそらくこのような重量のモノが頻繁に天板の上で右往左往する想定はしていないと思います。補強無しのままこのような作業をしてますとたちまち変形や破損が発生してしまうので、早急に補強材の製作をしなければなくなりました。元々設置されていた天板はステンレス製の1.5ミリの厚みでした。普通なら全く問題のない強度だと思いますが、補強材はもうひとつサイズアップして2.0ミリの厚みで、いつもお世話になっております加工屋さんのブレーキプレス機を少しお借りして箱曲げしました。曲げる前には展開状態になっていますが、曲げていった後に四隅をどうするかとなりました。キッチリ四面を曲げて箱型にしてしまいますと、装着したときに四隅にけっこう大きな角が出来てしまい、後々すごく気になってしまう部分になると予測し、加工屋さんにあります「コーナーシャー」という機械をお借りして、ええ感じに仕上がるよう考えてみました。「コーナーシャー」とは、そのままですがコーナー(隅)を切り落としてしまうシャーリング機です。画像にもありますが、このコーナー部分は1カットするだけでは折り曲げてもこのような仕上がりにはなりません。元板の直角四隅をどういう風に切り落とし、辺を折り曲げればこのように仕上がるかは、みなさんもぜひ考えてみて下さい。
補強板装着後…
元々の天板はビス止めされているので、補強板にも同じ位置に長穴を明け、元の天板の上からもう1枚覆い被さるように取り付けて、改めてビス止めします。これで元板の厚み1.5ミリに補強板の2.0ミリが合わさり、かなりしっかりとしました。この画像のように補強板は鏡のようにピカピカです。指紋がついたらすごく目立ってしまうほどの光沢で、すごく見栄えが良くでいいのですが、ここまでピカピカですと逆に滑りが悪く、指で触るとククッと食いつくほどです。滑りが悪いと重いコイルもより一層扱いにくくて、無理に滑らそうとすればお互いが傷つけあってしまう恐れがあります。光沢のない台所の流し台のような表面が案外滑りやすかったりします。今のピカピカ状態も使い込んでいきますと滑りが良くなっていくでしょうが、今は滑り悪いです。そこで応急処置として社内にありました市販の「シリコンスプレー」がありましたので、早速ピカピカのニュー天板に吹き付けました。ウエスで全体に馴染ませてから1束あたり約50kgほどの銅コイルを乗せてみました。するとどうでしょう、ゲームセンターによくあるエアホッケーのパックよろしく浮いているかのようにスルスルと縦横無尽でした。この調子だと1束あたり100kgのコイルでも楽に結束が出来そうです。しばらくはこの状態が保つと思いますが、滑りが悪くなってくるとまたスプレーを吹き付ければいいでしょう。ですが考えてみますと、そんな感じを繰り返していれば、何時まで経っても擦れあって年季の入ったいい感じになる日が訪れません。ものすごくジレンマが拭えませんが、ひとまずは50kgもあろうこのコイルがエアホッケー状態というのを存分に楽しめばいいじゃないかということで今回は締めくくりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
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