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  • 2021年12月27日黄銅(真鍮)について

    黄銅ブログタイトル

    前回は銅について少しお話をさせていただいたので、今回は黄銅(真鍮)をテーマにしたいと思います。黄銅とは、銅と亜鉛の合金です。で、終わってしまうのはさすがに胸が痛いので、フワッと歴史をさかのぼらせてもらいます。

    黄銅(真鍮)の歴史

    誕生がいつかはハッキリしていないそうですが、少なくとも紀元前4000年ごろから用いられていたといわれています。ここまで古い話もなかなか大変なので、もう少し時を戻しますと12世紀ころからインドで亜鉛の精錬が行われ、中国では古代から黄銅が鍮石(ちゅうじゃく)と呼ばれて重宝されていました。そしてこの鍮石ですが、16世紀ころの中国の博物書に記されているそうで、銅と酸化亜鉛鋼を不純物などを取り除いて純度を高めた鍮石を「真正な鍮石=真鍮(しんちゅう)」となったそうです。真鍮の歴史はものすごく長いので諸説あるかと思いますが、私の独断と偏見でこの説を選びました。そしてこの真鍮が歴史上で一気に華咲いたのが15世紀中頃から17世紀中頃の大航海時代だそうです。その理由はズバリ海水に対する耐食性に優れていることでした。船舶用の金物としてその地位を固め、やがては住宅の建具や家具の装飾などにも用いられるようになりました。銅を伸ばしたり、圧縮したりして加工する製品を「伸銅品」といいますが、その伸銅品のなかで今なおもっとも多く使われているのがこの真鍮です。

    真鍮の様々な用途

    黄銅線

    子供の頃に見ていたアニメや映画にもよく登場した中身があふれ出てる宝箱や金銀財宝がザ~クザクみたいな場面に出ていたのは恐らく真鍮なんでしょうね。子供のころは絶対に純金だと思い込んでいましたが、大人になって考えてみると、そんな訳ないですよね。ちょっと話が脱線してしまいましたので元に戻しますが、一番最初にお話ししました、真鍮とは銅と亜鉛の合金のことをいいます。その2種類を混ぜる配合によって出来上がりの異なる真鍮となります。代表的なものをご紹介いたしますと、亜鉛が20%未満で残りが銅という「丹銅」。別名レッドブラスと呼ばれています。亜鉛の含有量が少ないので赤みがまだ残っているのでそのように呼ばれているようです。それから銅70%、亜鉛30%の「七三黄銅」、「黄銅1種」とも呼ばれています。銅65%、亜鉛35%の「黄銅2種」、銅60%、亜鉛40%の「六四黄銅」、「黄銅3種」とも呼ばれています。亜鉛の含有量が増えるほど色味は金色、硬さも増していきます。英語表記では「Brass(ブラス)」、トランペットなど金管楽器の演奏隊をブラスバンドといいますよね、そのブラスです。また電流が流れやすいという特徴を活かして、コネクターコンセントのような接続器の素材としても使用されていますが、給水管や鉄道模型などの素材、弾薬の薬莢、仏具関係、それから1948年から2021年現在に至るまで日本で発行されている五円硬貨の素材としても使われています。革小物やアクセサリー類でも多く使われていて本当に幅広い用途に対応していて頼もしい材料です。私個人的にはアクセサリーやその他装飾品の真鍮製品が好きなんです。身に付けたいわけではなく、ただただ鑑賞目的としてですが。特にアンティーク調といいましょうか、ほどよく光沢が落ち着き、色合いや質感が独特な表情になった年季の入った代物が、歩いている時にでも目に入ると思わず立ち止まって見入ってしまいます。好きなので私の中の真鍮センサーが良く働いているのでしょうが、注意深く街中を歩いていると結構な頻度で出没します。好きすぎて真鍮じゃないものも真鍮に思い込んでしまってることもあるんじゃないかなというくらいです。でも、そんなに好きなら見間違うなよとも思っちゃいますね。

    黄銅の種類

    黄銅板

    さてそんな多方面で使われている真鍮ですが、やはり用途によって特性がマッチしていないとなりません。上記でご紹介したのはごく一部で他にももう少し種類ありますのでご紹介いたします。まずは「快削黄銅」。展延性などの伸びよりも切削性を向上させる目的でを添加した黄銅です。その切削性から機械加工などにより、バルブ、ボルト、ナットなどに使われています。それから次に「高力黄銅」。六四黄銅がベースで、マンガン、アルミ、鉄を添加した黄銅です。高力という名前から何となく想像つくかもしれませんが、そのままズバリ硬いということです。なので耐摩耗性などを必要とされる場面で使われています。船舶用のプロペラ軸やポンプ軸など。そして最後にご紹介するのは「ネーバル黄銅」。微量の錫を添加し、耐食性、耐海水性が優れているために「海軍黄銅」とも呼ばれています。ネーバル=「海軍(Navy)」からきています。用途は船舶用プロペラ、シャフトなど。

    今回はこの辺で締めくくりたいと思いますが、悪文の限りをつくし誠に申し訳ございませんでした。ですが、まだまだ書ききれていないこともたくさんありますので、また機会がございましたら第二弾、第三弾と続けていきたいです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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