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  • 2023年05月13日アルミ材を溶接してもらいました。

     

    岡山県倉敷市にあります長年にわたり大変お世話になっておりますお客様よりアルミの加工依頼をいただきました。ユーザー様からの手書き図面を基に、お客様と私、加工屋さんも交え、打ち合わせの火蓋が切って落とされました。

    まずは材料の選定、手配

    そもそも見積り時のタイトルが「アルミ防護板」との事でした。防護板というからには何かから防護してもらう目的だとは思っていましたが、ひとまずそれは置いときまして、手書き図面のメッセージ性を読み解くことが先決ではないでしょうか。加工屋さんへ問い合わせる前にまずは全て目を通しましょう。ここがこうなって、ああなって、こことここがくっついて、ここが曲げられていて等々。隅から隅まで図面とにらめっこをしていますと、段々と完成した商品が頭の中に浮かんできます。この僕の頭の中に浮かんだイメージと手書きされたユーザー様のイメージが一致していたら素晴らしいことだと思います。ですがまだこの時点では何から防護してくれるのかはさっぱりわかりません。そんなこと今は関係ございません。ですが打ち合わせはどんどん進みます。さすがにここまでにらめっこしましたら加工屋さんに図面を見てもらって不明な点を質問されたとて返事出来ちゃいます。こんな感じで加工屋さんが「ここまでは出来るけど、これはムリ」など加工内容に対しての意思疎通をして、なるべく加工屋さんに負担の掛からないように打ち合わせを進めるのをド薦めしちゃいます。そんなこんなでそれぞれのパーツが浮き彫りになってきたところで材料の手配と参りましょう。

    いざ溶接。

    ただのアルミ丸棒、ただのアルミ切り板、アルミ板を曲げてもらったのと、四隅Rを付けてもらったアルミ板。パーツはこれで全部です。さっそくこれらを車に積み込み、加工屋さんへ向かいます。僕の材料手配にミスが無かったかドキドキしましたが、材料を見ながら段取りをしている加工屋さんの様子を見ていますとどうやら第一関門は突破したようです。ここで図面を今一度サラッと目を通し終えますとおもむろに作業開始の火蓋が切って落とされました。

    「バチバチッ!」っと威勢のいい音が鳴り響き、あれよあれよと形になってきました。図面から察するにはどこかしらで鎮座するようです。ということは安定性の悪さ、ガタツキがあってはなりません。私も作業を見守りながら一抹の不安を覚える刹那、加工屋さんの手がピタッと止まりました。おもむろに作業途中の防護板を平らな場所へ置いてみました。するとどうでしょう、ガッタガタです。それはそれはガッタガタ。だってバチバチバチバチアッツアツの溶接してんねやからそら熱も溜まってひん曲がってまうわっちゅう話です。僕はぶっちゃけ「失敗しはったかな?」と焦りました。一旦は拭い去られたはずの一抹の不安が再び襲い掛かってきた刹那、「カン!!」っと耳をつんざく音が工場に鳴り響きました。ふと目をやるとさきほどまでユッラユラのガッタガタだった防護板が神々しく鎮座されておりました。加工屋さんが叩き直したようです。よくよく考えてみますと熱くなって変形したなら、熱いうちに直したい形へ戻せばいいですね。表情ひとつ変えず形を戻した加工屋さんですが、僕と目が合った刹那、不敵な笑みを浮かべ「見てた?」と一言発しました。

    完成

     

    完成しました。何から防護してくれるのかさっぱりわからないまま完成しちゃった防護板。遅ればせながらようやく何から防護してくれるのか教えてもらいました。鉄などをガス切断作業しますと屑(ガス花や溶断スケールなどと呼ばれています。)が発生します。熱いのが飛び散ってくるんだと思います。このような熱を持った屑や鉄粉を盾のように防護する目的で制作に至ったようです。アルミで軽量化、ユーザー様の作業所内で簡単に持ち運びが出来、溶断スケールからだけではなくその他色んな作業の場面でも使う予定だとも仰っていました。納入しましてかれこれ1ヶ月ほど経ちましょうか。アッツアツの鉄粉を来る日も来る日も浴び続け、今は見る影もない姿になってしまっているのか、それともまるでビクともせずあの神々しい鎮座を今なお貫き通しておられるのか安否は不明です。ですがもしも頑張ってくれているのであれば、防護板2号、3号とご注文いただける日が来るかもしれません。そんな日が訪れるのを心待ちにしつつ、初号機の健闘を祈りつつ、今日はここまでとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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